「インプラント」といっても、方法はひとつではない
歯を多く失った場合の治療法として、インプラントを検討している方のなかには、「オールオンX」という言葉を目にしたことがある方もいるかもしれません。インプラントと一口に言っても、歯を何本失っているか、骨の状態がどうかによって、選択できる治療の方法は変わってきます。
「自分にはどちらが合っているのか」「何がどう違うのか」——そうした疑問を持ちながらも、専門的な説明が難しく、よく理解できないまま迷っている方も多いようです。このページでは、通常のインプラントとオールオンXの違いを整理しながら、それぞれがどのような状況に適しているのかをご説明します。
通常のインプラントとはどのような治療か
通常のインプラントは、失った歯の本数に応じてインプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を固定する治療です。1本の歯を失った場合には1本のインプラントを入れるのが基本で、複数本を失っている場合はそれに応じた本数を埋め込みます。
天然歯に近い噛み心地と見た目が実現できることが大きな特徴で、隣接する歯を削る必要がないため、残っている歯への影響を最小限に抑えることができます。骨の量や質が十分であることが前提となりますが、条件が整っている場合には非常に安定した結果が得られる治療です。
ただし、歯をほぼすべて失っている状態でこの方法を選ぶと、必要なインプラントの本数が多くなります。治療にかかる時間・費用・身体への負担がいずれも大きくなるため、全顎にわたる欠損に対しては別の方法が検討されることがあります。
オールオンXとはどのような治療か
オールオンXは、片顎の歯をすべてまたはほぼすべて失っている場合に用いられる治療法で、4〜6本程度のインプラント体で1本の連結した人工歯列(ブリッジ)を支える仕組みです。「X」の部分はインプラントの本数を指し、4本で支える場合はオールオン4、6本の場合はオールオン6と呼ばれます。
最大の特長は、少ない本数のインプラントで顎全体の噛む機能を回復できる点です。歯を1本ずつインプラントで補う場合と比べて、埋め込む本数が大幅に少なくなるため、手術の範囲や術後の回復期間を抑えられる可能性があります。
また、インプラント体を顎の骨の中でも骨量が確保されやすい場所に斜めに埋め込む技術を活用することで、骨の量が少ない方でも適用できるケースがあります。従来のインプラントでは骨が足りないと判断された方に対して、選択肢を広げる治療として注目されています。
2つの治療、どこが決定的に違うのか
最も大きな違いは、「歯の失い方」と「骨の状態」への対応の幅です。
通常のインプラントは、部分的な欠損——つまり何本かの歯を失っているものの、まだ残っている歯がある状態——に対して適しています。残存歯を活かしながら、失った部分だけをピンポイントで補う治療として機能します。
一方、オールオンXは全顎にわたる欠損、あるいはほぼすべての歯を失っている状態を想定した治療です。入れ歯では安定感に不満がある方や、しっかり噛める状態を取り戻したいという方に選ばれることが多く、固定式であるため食事中や会話中に外れる心配がありません。
費用面では、オールオンXは1回の手術で複数本のインプラントと人工歯列をまとめて入れるため、1本ずつ入れる場合と単純比較はできませんが、全顎を補うという目的においてはコストを抑えられるケースがあります。ただし、この点は個々の口腔内の状況によって大きく変わるため、一概には言えません。
どちらを選ぶかは、口腔内の状態次第
「オールオンXと通常のインプラント、どちらが優れているか」という問いに対する答えは、実はありません。どちらの治療が適しているかは、現在の歯の残存状況、顎の骨の量と密度、全身の健康状態、そして生活上の希望などを総合的に判断した上で決まります。
たとえば、骨の量が十分あって数本だけ歯を失っている方に対してオールオンXを選ぶ必要はありませんし、逆に骨がかなり少なくなっている方に通常のインプラントを複数本入れることが難しい場合もあります。自分に向いているのはどちらかを知るためには、口腔内の詳細な検査と画像診断が不可欠です。
インターネットの情報だけで判断しようとすると、自分の状態に合わない選択をしてしまうリスクがあります。治療の選択肢を正確に把握するためにも、まず専門家に現状を診てもらうことが出発点になります。
当院での受診について
「歯をかなり失ってしまっていて、どんな治療が受けられるかわからない」「入れ歯ではなく固定式の治療を検討したい」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。口腔内の状態を確認した上で、通常のインプラントとオールオンXのどちらが適しているかを含め、選択肢をわかりやすくご説明します。
治療方法で迷っている段階でのご相談でも構いません。まず現状を把握することが、納得のいく治療への第一歩です。当院へお越しください。
